遺留分を放棄させたいのはどのような場合でしょうか?大きく分けて、遺留分を放棄させたい場合は2つ考えられます。
相続財産を細分化させたくないという場合
遺留分を主張されるのが不公平な場合
以下、それぞれについてご説明致します。
遺留分を行使されると財産が細分化され価値が低下してしまうおそれがある
農業用資産や営業用資産は細分化してしまうと、全体としての価値が低下してしまいます。そこで農業用資産や営業用資産はできる限り、一体として相続させたいものです。
しかし、遺留分減殺請求がなされると、細分化することになってしまうおそれがあります。そこで、遺留分を放棄させて、遺留分減殺請求を封じるのです。
相続で急に現れて遺留分を請求するのが不公平な場合
たとえば、子ども3人が相続人だとして、そのうちの1人は親に勘当されて、20年近く家族と行き来がなかったとします。そのような子どもが、相続になって急に現れて遺留分を主張する、というのは不公平に感じます。
そこで、遺留分を放棄させて、遺留分減殺請求を封じるのです。
遺留分を放棄させる手続は生前と死後で異なる
・生前の遺留分放棄
生前の遺留分放棄は家庭裁判所の許可を得なければなりません。
・亡くなった後の遺留分放棄
亡くなった後の遺留分放棄は家庭裁判所の許可を得る必要はありません。書面でも口頭でも放棄するとの意思を表示すれば、それで遺留分放棄になります。
しかし、言った言わないの争いになる場合もあるので、書面に残しておくことをおすすめします。
なお、詐欺や強迫によって、遺留分を放棄させても、放棄を取り消されてしまいます。また、詐欺や強迫は犯罪になる場合もあります。
遺留分を放棄させるのは非現実的 遺留分減殺請求への対処を考える
実際の所、遺留分を放棄させるのは難しいです。
遺留分を放棄させたい場合は2つあると書きました。
相続財産を細分化させたくないという場合
遺留分を主張されるのが不公平な場合
このうち、相続財産を細分化させたくないという場合であれば、まだ相続人の理解を得られることもあるでしょう。しかし、遺留分を主張されるのが不公平な場合に、遺留分を主張してくる相手を説得するのは難しいものです。
そこで、遺留分を放棄させるのが難しいと判断したら、遺留分減殺請求にどう対応するかを弁護士にご相談いただければと思います。