親の代から土地を借りて、その上に建物を建てている、またはそれなりに長く土地を借りていたにもかかわらず、地主から立ち退きを要求されて困っているなどということはありませんか?立ち退き要求をされてはいないが、噂で立ち退き要求されるかもしれないなどといった場合にも、土地を追い出され家を失うことになってしまうため、非常に困る状況かと思います。
立ち退きを要求された時に借主として大きく2つの対応が考えられます。
・立ち退かないで済むようにする
・立ち退くとしても、正当な立退き料の支払いを受ける
どちらの対応を選ぶにしても、法律のルールを知る必要があります。ここでは法律のルールでも重要な「旧法賃借権」について解説します。旧法賃借権を理解して、自身の借地を守りましょう。
旧法賃借権(借地権)は昔の法律で決められていた権利
「旧法賃借権」という聞きなれない言葉ですが、「旧法」と「借地権」に分解できます。
まず、「旧法」というのはどういう意味なのでしょうか。旧法ということは新法があります。ここでいう新法とは、借地借家法のことをいいます。借地借家法もあまり馴染みがないかもしれませんが、旧法、新法ともに借地契約に関して定められた法律のことをいいます。法律は、原則、契約時点で有効な法律が適用されることになっています。そのため、「旧法賃借権」とは、旧法が有効な時に締結された賃借権ということになります。
次に、「賃借権」についてですが、賃借権と言われたり、借地権と言われることもあります。旧法、新法問わず、借地契約を結ぶと、借主は土地を借りて使用する権利を得ます。この権利のことを賃借権、借地権といいます。
旧法と新法では賃借権にどのような違いがあるのか、見ていきましょう。
旧法賃借権(借地権)とは、借地借家法という現行の法律ができる前の契約によって取り決められた権利を言います。
旧法賃借権は契約期間、契約更新が借主に有利
旧法も新法も、借地契約に際して、借主が不利とならないように様々な規定を定めています。しかし、旧法の方が新法よりもより借主に有利となっています。そのため、地主から立ち退き要求をされたときに、単に現行法賃借権を主張するよりも旧法賃借権を持っていることを強調することで、有利に立ち退き交渉を進めることができます。
旧法賃借権のメリットは具体的に以下のようなものがあります。
・契約期間が長いことがある
・更新が認められやすい
旧法賃借権だとすれば、実は契約期間がまだ残っていたり、契約が自動で更新されていたりするということもあります。そうすると、立ち退かないで済むことになります。また、立ち退きに応じるとしても、本来は立ち退く必要が無かったのだから、立ち退き料を高額にするように交渉することもできます。
旧法賃借権は1992年8月1日以前の借地契約で使える
旧法賃借権は、契約が1992年8月1日より前になされた場合に主張することができます。この1992年8月1日というのは、借地借家法が効力を生じた日です。
借地契約では、ほとんどのケースで借地契約書が作られます。そのため契約を締結した時期は、主に契約書で確認することができます。契約時が1992年8月1日以前であればいいため、親がそれ以前に契約を結んでおり、以後相続したという場合でも、旧法賃借権を主張することができます。相続した中の書類に借地契約書が無いか確認してみましょう。
明らかに1992年8月1日以降に借地契約を結んでおり、旧法ではなく借地借家法が適用されるといった場合でも、借主はかなり強い立場にあります。仮に立ち退きを要求されても、旧法賃借権を主張できる場合と同じように、立ち退く必要がない、または高い立ち退き料をもらえる可能性があります。お気軽に電話法律相談をご利用ください。