俺の財産はおれのもの
自分の財産は自分の好きなように処分していいはず。売っても、上げても、誰に文句は言われる筋合いはないです。だとしたら、死んだ後の処分も好きにやっていい! これが大原則です。
遺言書を書く
遺言書を作成すると、財産を好きな人に遺贈することが出来ます。遺言には「自筆遺言」と「公正証書遺言」があります。しかし、「自筆遺言」では厳格な要件が決められています。なぜなら死後では本人に問い質すことが出来ないからです。
ところで、人は生身で何があるか分かりません。「一寸先は闇」です。遺言を思い立ったらすぐ遺言を書きましょう。取り敢えず「自筆遺言」を書いておき、後ほど時間を見て「公正証書遺言」を書くことをお勧めします。なお、「自筆遺言」と「公正証書遺言」でも効力は同じですが、公正証書遺言の方が効力を否定され難いというメリットがあるのです。
遺言書作成時の注意点
せっかく残した遺言でも、効力が否定されると本人のせっかくの意向が生かされませんし、遺言を書いてもらった方も困ってしまいます。そこで、3つの注意点を紹介します。
⑴ 遺言能力
無効を防ぐ方策を取りましょう。主治医から能力についての証明書を書いてもらっておくことです。書いた後であれば、作成当時のカルテや看護日誌の写しをもらっておくといいでしょう。
⑵ 特別受益の持戻免除
せっかく遺言を書いてもらうなら、遺言の内容に「生前贈与は遺産分割では 考慮しないでよい」と書いてもらっておきましょう。多額の生前贈与を受けていた場合など必須の条項です。
⑶ 遺言の書換えに注意
遺言はLast Willというように「最後の」遺言が優先するのです。書いてもらって夢々安心してしまい、その後他の相続人に書き換えられていたなどという悲喜劇は山ほどあるのです。
ただ、ここで注意すべきは、「遺言能力が有るときに作成された」最後の遺言が優先するということです。本人に後見人がついた後には遺言が作成されることはないのですが、それまでは新しい遺言が書かれる可能性はあるということです。
速やかに遺言の執行を!
遺言の執行を止められて、協議に持ち込まれる事例をよく見かけます。すなわち、他の相続人が金融機関に「遺言の効力に疑義がある」と連絡すると銀行等は「火中の栗を拾う」ことを避けたいと思うものですし、二重払いのリスクを考えるからです。くれぐれも遺贈を受けた側は、間髪を入れずに執行してしまうことです。
遺言書で勝負するなら
「三点セット」を作ることがオススメです。三点セットとは、⑴(包括的)委任契約 ⑵任意後見契約 ⑶遺言書のことです。これらを公正証書で書いておくのです。相続財産の管理をして、相続発生までの財産の不当な散逸を防止するためです。
無効行為の転換
せっかく書いた自筆遺言が無効になりそうな時は、慌ててはいけません。「無効行為の転換」を検討するべきです。自筆遺言が要件を充たさず無効だとしても、贈与契約とみられないか、これが「無効行為の転換」です。被相続人の「最後の意思」は尊重されるべきなのです。