えっ、「相続人の一人が認知症だった」

高齢化社会

そうです、世は高齢化社会です。80歳、90歳は当たり前。ですから、相続が発生するときは、法定相続人も高齢な人もいて認知症で判断能力がないとされる事例もよく見かけます。そんなとき、その長男や長女が窓口になって交渉しても法的には有効な意思表示にはなりません。

せっかく作った遺産分割協議書は無効になってしまいます。遺産分割協議書は全員の有効な合意を必要とするからです。また、相続人が多人数の場合、やはり一人でも知的障害があって意思能力が認められないことも時々あります。

対処方法は?

そんな場合はどうしたらいいか。幾つか方法はあります。

⑴ 後見人の選任
まず考えられるのが、裁判所に申立てて後見人を選任してもらうことです。これが一番普通の方法です。ただ、相続財産がさほどないのに後見人を選任するのは大変です。

そもそも後見人が必要なのは被後見人の財産を管理して護ってあげるためのものです。遺産分割協議のためだけならもっと「簡単な方法」 があるのです。また、後見人選任申立には診断書が必要なのですが、他の相続人が邪魔をして取れないことも多いのです。

⑵ 特別代理人の選任
そこで次に、遺産分割協議のために特別代理人の選任を申立てることが考えられます。例えば、特別代理人は、訴訟を提起しようとする場合、相手方が意思能力がなくて訴えられないような事態のために選任します。

⑶ 法定相続分で登記
奇手としては、法定相続分で登記をしてしまう方法があります。相続登記は遺産分割協議が終わってからしか出来ませんが、法定相続分の登記は自分独りで出来るのです。法定相続分の登記は通常は他の相続人にプレッシャーをかけるためにするものです。

というのも、共有登記してしまえば共有持分を単独で売却も出来るからです。でも、この方法を取ったあとに抜本的な解決を図るには共有物分割請求をする必要があり、その際にはやはり特別代理人の選任等が必要となります。

遺言執行者の指定

ところで、被相続人が遺言書を作っておき、その中で「遺言執行者」を決めておけば、遺産分割の協議も必要ではありません。また遺言の実現も執行者が単独で行えますので、相続人の中に意思能力のない人がいても問題が生じません。意思無能力の問題がありそうな場合には、ご自分がまだ元気なうちに相続がスムーズに行えるように遺言を書いておくことをお勧めします。

道は常にある=教訓

誰かが言っていました。「道は常にある。道がないと思ったときに道がなくなるだけだ」と。ダメだと思った瞬間に思考停止になってしまうからですね



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平間法律事務所

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