当法律事務所では、東京以外からもたくさんのご依頼をお引き受けしています。特に多くなっているのが、相続に関するご依頼です。今回は、相続に関する裁判例を一つご紹介します。
特別縁故者は故人と特別な関係にあった個人・団体のこと
特別縁故者という言葉を聞いたことがある人は少ないと思います。特別縁故者とは、被相続人(亡くなった方)と、事実上の婚姻関係にあったものや、事実上の養親子関係にあったもの、あるいは被相続人と特別な縁故があったもの(個人だけでなく団体も含みます)のことです。具体的には内縁の妻や、連れ子といった関係に当たる方や介護などにあたった団体のことです。
民法は相続人を配偶者や、親、兄弟、子などに限定して定めていますが、それでは内縁の妻などに遺産が相続されないことになってしまうため、特別縁故者には相続財産を分与することができるようになっているのです。
故人の死後に特別縁故者になることがあるとされた事例
そんな特別縁故者ですが、被相続人の死後に、特別縁故者になるということはあるのでしょうか。これは内縁の妻などではなく、死後に葬儀やお墓のお世話をする人の場合です。福島家裁は、「被相続人の生存中特別の縁故がなかったとしても、その生存中死後のことを予測できたならば、これにつき遺贈、贈与等の配慮を払ったに違いないと思われる場合には、被相続人の死後における特別の縁故を認めることもできる」としています。福島家裁の判示では、このように特別縁故者を死後に認めることもできるとしていますが、あくまで福島家裁の判断で、学説等では意見の分かれるところです。
確実に財産を渡したいなら遺言書を書くのがおすすめ
特別縁故者に遺産の一部が与えられるのは、相続人のいない場合のみに限られますし、もし必ず特別縁故者にも財産を承継させたいのであれば、遺言を書くことをお勧めします。どちらにしても、まず弁護士などに相談するようにしてください。