「家の相続」というと、(1) 家督を相続すること、(2) 祭祀を継承すること、(3) 家(不動産)を相続することに意味が分かれます。
家督相続は昔の制度 今は遺言や法定相続分に従って相続
昭和22年頃までは旧民法により、「家督相続」とは戸主が死亡した時、「遺産相続」とは戸主以外の人が死亡した時をいうものと分かれていました。家督相続は長男子単独相続が原則的に財産と家督を継ぐ、すなわち家は長男が引き継ぐということがありました。
しかし現在の民法で、相続財産は長男も二男も均等にすることが定められました。すると、これまで当然に家の相続をしてきた長男から「財産を均等分割すると家がなくなってしまう。」と言われるようになってしまいました。
ですから、以前は生前に父や長男から二男に相続放棄をするように圧力をかけられるなんてこともありました。ですが、相続放棄は相続が実際に発生してからしかできませんので、二男も法律的に対抗できるのです。
墓や仏壇などは祭祀財産として特別な相続がある
なお、祭祀の継承については、民法は相続財産と別の扱いにして、継承者を別に定めることとしています。祭祀財産、例えば墓地の利用権、墓石、お位牌などは祭祀を主催する者一名に継承することを認めていて、被相続人の遺言による指定があればその者が継承することになります。また、遺言等で指定された継承者は、その継承を拒むことができません。(ただし、祭祀を行うかどうかは継承者に任されています。)
葬式費用や香典も祭祀財産と同様で、相続財産に入りません。ですから、「葬式は香典や相続人が出せる範囲で行いなさい」ということになります。(ただ、葬式費用は相続財産から出していることが多いようです。)
不動産はお金に換えて分割(換価分割)になることも
5,000万相当の実家を兄弟3人で平等に分けるなんてことが果たしてできるのでしょうか?預金や現金であれば、簡単に分割することができますが、家の相続の場合はそう単純にはいかないようです。
遺言等で特段振り分けられていないときは、民法では「遺産分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の職業その他一切を考慮してこれをする。」と規定されています。すなわち、現物をそのまま分割しなくてもいいですよ、財産の種類や相続人みんなの事情を考えて分けましょうという態度です。
ただし、協議がまとまらずに、裁判所が入る場合は現物分割が原則となります。したがって、分割によって価値が著しく損なう場合は、競売にかけて価格の分割を行うことになります。
相続争いを防ぐためにも遺言を残しておく 遺留分には注意
こんな不都合を避ける為には遺言をしておくことです。ですが、この場合でも遺留分がありますから、完全に自由にならないことに注意が必要です。
家の相続に関して何かお困りの際は、平間法律事務所までお気軽にご相談下さい。