「息子は両親を殴ってばかりなので、絶対相続させたくない!!」とか、「妻は一緒に住んでいる時は暴言や浮気を繰り返し、浮気相手と出て行ってしまったので、相続させたくない!!」という場合にどんな手段が取り得るでしょうか?
推定相続人の廃除を使えば特定の相続人に相続させないことができる
遺言を書けば相続人でなくなるのであれば、遺言を書くことで通常対応できます。しかし、法定相続人には遺留分といい、侵害することのできない一定の相続分があるのです。
ですから、遺留分のない兄弟姉妹は遺言で対応できますが、遺留分を有する推定相続人の場合は、遺言を書くだけでは遺留分減殺請求をされてしまえば、遺産を相続されてしまうことになります。
しかし、虐待されたり、重大な侮辱があったり、著しい非行があった相手には一円も相続させたくないと思うのも当然です。その場合は推定相続人の廃除を家庭裁判所に申立てるとよいでしょう。
推定相続人の廃除は家庭裁判所に請求する
被相続人が「推定相続人廃除調停申立」を家庭裁判所にすると、調停又は審判により慎重に審議されることになります。そして、審判が確定すると、ただちに相続権を失うことになります。そして、その結果を市役所に「推定相続人廃除届」を出します。被相続人の戸籍に推定相続人が廃除された旨が記載されることになります。
なお、推定相続人の廃除は以下の二種類があります。
生前廃除:被相続人が生前に申立てる
遺言廃除:遺言執行者が遺言に従い申立てる
推定相続人の廃除が可能な理由は法律で限定されている
推定相続人の廃除の理由としては以下のようなものが考えられるでしょう。
(1) 被相続人を虐待した
(2) 被相続人に対して、重大な侮辱を与えた
(3) 推定相続人に著しい非行があった
・被相続人の財産の不当処分
・重大な犯罪行為を行い、有罪判決を受けている
・夫婦関係や親子関係が事実上存在しない(遺産目当ての場合など)
以上のように、理由は様々だと思われます。お悩みの際は専門家にご相談されるとよいでしょう。