遺言で遺言執行者を決めるとスムーズな相続が可能
遺言のマニュアル本などを読むと、遺言には遺言執行者を記載するようにというような記載があることがあります。なぜこのような記載がなされるかというと、遺言執行者の権限が大きいため、相続人の抵抗を封じることができるからです。
たとえば、遺言の内容に納得しない相続人がいたとしても、遺言執行者の権限で故人の預金口座を解約して預金をおろすことができます。このように遺言執行者の権限が大きいからこそ、遺言には遺言執行者を記載するように勧められているのです。遺言を書く目的は、一つには相続財産の与え方を決めることですが、もう一つの目的は遺言執行者の権限で遺言執行をスムーズに進めるためなのです。
遺言執行者の権限は大きいため相続人による妨害を防げる
遺言執行者の権限でできること以下の通りです。
・預金口座を解約して解約金を受領する
・貸金庫を開扉する
・不動産の名義を変更する
・株式の名義を変更する
・自動車の名義を変更する
・不動産の収益(賃料)を管理する
・相続に関する訴えを提起する
遺言執行者の権限は上記のように多岐にわたります。相続人の抵抗が予想される場合には、遺言書に遺言執行者を書いておくことをおすすめします。
遺言執行者の権限が明確でないとできないことも
銀行によっては、遺言執行者の権限では預金口座を解約したり、貸金庫を開扉したりさせないということがあります。この取扱いは法律に反していると思われます。しかし、銀行にノーと言われてしまえば、それまでです。
銀行がノーと言った場合でも、遺言執行者の権限で訴えを提起すれば、口座を解約したり、開扉させることができます。しかし、訴訟にはお金と時間がかかります。そこで、銀行と円満に交渉して、銀行にイエスと言ってもらいたいところです。
遺言書に遺言執行者の権限を明示しておく されてなければ交渉の得意な弁護士へ相談
1つ目は、遺言書に書いておくことです。たとえば、「遺言執行者の権限は預金口座を解約し、解約金を受領し、又、貸金庫を開閉する権限を含む」などという文言を書いておくのです。
2つ目は、交渉が得意な弁護士に依頼することです。一口に弁護士といっても、交渉が得意な弁護士と訴訟が得意な弁護士がいます。訴訟が得意な弁護士は法廷では力を発揮しても、交渉では相手方を怒らせてしまうということもあります。これに対して、交渉が得意な弁護士は、表面上は円満に話を進めつつ、したたかに依頼者の要求を実現します。電話相談等をしてみて、話が上手な弁護士を選ばれることをおすすめします。