自分に不利な自筆証書遺言が見つかった場合でも手の打ちようはあります。その自筆証書遺言のとおりに遺産分割しなければならないと決まったわけではありません。ここでは、不利な自筆証書遺言が見つかった場合の対処法をご説明します。
必ず自筆証書遺言の通りに遺産分割する必要はない
相続人全員が自筆証書遺言とは異なる内容で遺産分割をする合意をした場合、その合意のとおりに遺産分割をすることができます。
自筆証書遺言が無効であれば法定相続分の相続ができる
自筆証書遺言が無効になる場合があります。以下の項目のどれかに心当たりがある方は、弁護士にご相談ください。
・意思無能力
高齢のため自筆証書遺言の意味内容をわからずに言われるがままに自筆証書遺言を作成したような場合
・心裡留保
自筆証書遺言を作成したのが真意ではなかった場合
・錯誤
何らかの誤解で自筆証書遺言を作成した場合
・詐欺
騙されて自筆証書遺言を作成した場合
・強迫
脅されて自筆証書遺言を作成した場合
・自署性
ワープロで作成した場合(法改正により財産目録についてはワープロでの作成も認められるようになりました。なお、各ページに署名押印は必要です。)
他人が筆記して作成した場合
他人が本人の手を動かして作成した場合
・日付
日付が書いていない場合や日付が日にちまで特定されていない場合(9月吉日などと記載されている場合)
・氏名
氏名が記載されていない場合
・署名押印
署名押印がない場合
・加除訂正
加除訂正がされているのに署名や押印がない場合
・共同遺言
夫婦共同名義など複数名が一つの書面でする自筆証書遺言を作成した場合
なお、自筆証書遺言が見つかると、検認手続がなされます。しかし、検認手続というのは、自筆証書遺言の内容が有効であることを証明するものではありません。したがって、検認手続が終わっていても、遺言が無効になる場合があります。