いきなり、明け渡しを請求された!
例で考えてみます。郊外のとある借家(甲)を借りているAさん一家は、甲についての賃貸借契約の成立から5年間、甲に住み続けてきました。その後、周辺の開発計画が進行し、甲の隣にもお洒落な緑地公園ができて、甲の建っている土地の価格は徐々に上がっていきました。
そこで、甲をAさんに貸していた家主(賃貸人)のBさんは、そろそろ古めの木造建築になってきた甲を解体して、こぢんまりした喫茶店でもはじめれば儲かるに違いないと考え、賃貸借契約を解除したいとAさんに申し出ました。
明け渡しの請求には正当事由が必要 借主はかなり有利
借地借家法という賃借人を強力に保護する法律があるために、このような場合に無条件に解除して明け渡しを求めるということはできません。正当事由が必要です。
借地借家法の第28条によると「建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」とされています。
とすると、例のような場合は、賃貸人Bさんには相当厳しそうですね。このように、借地借家法のおかげで、賃貸人の言いなりにならなくてよい場合がほとんどですので、同種の事例でお困りの場合は一度弁護士に相談してみましょう。