不動産の相続には相続登記が必要
相続登記という言葉をご存知でしょうか。普通、相続が行われると、被相続人の財産が相続人へと受け継がれますよね。この財産が、例えば金銭であった場合などは、とくに問題もなく、そのお金は相続人の所有物になり、誰に対してそう主張することも可能です。
ところが、その財産の中に土地や建物があった場合は、少し状況が変わってきます。もちろんそれも相続されたものですので、その土地は相続人の所有物になることには変わりがありません。ただし、それをいつでも他の人に対して主張できるのかといえば、そうではありません。土地や建物などの不動産の場合を相続した場合、法務局というところへ届けなければならないのです。これを、相続登記といいます。
もし相続登記をしないと土地の所有権を失う可能性がある
埼玉県で起きたこれに関する事案に、次のようなものがありました。埼玉県に住むある男性が死亡し、相続が発生しました。相続人は、妻と娘、遺言書などはとくにありませんでした。財産は金銭のほか、埼玉県の土地及びその土地上の建物がありました。遺産分割協議の結果、娘が埼玉県在住でなかったこともあり、土地の方は妻が相続することになりました。
上記事案で、もし、妻は相続登記をしていなかったところ、娘がこの土地を勝手に譲渡してしまった、という場合はどうでしょうか。相続登記をしていないと、妻は自分にはその所有権があるのに、土地を譲り受けた人に対して土地の所有権を主張することができない、ということになってしまう恐れがあります。
この場合、土地を譲り受けた人に対して「それは私のものなのだから返しなさい」という請求はできない恐れがあるのです。逆に、相続登記をしていたらこれに対抗することができます。このような意味で、相続登記がいかに重要であるかということがお分かりいただけるのではないかと思います。