相続・死因贈与・遺贈には相続税、生前贈与には贈与税 区別をつけよう
相続や贈与といった言葉はどちらも財産の無償取得を表す言葉で、時として紛らわしいこともありますが、有効な相続税対策をするためにはこの違いをしっかり知っておくことが大切です。
相続は、被相続人の死亡をきっかけに、法定相続人に財産などが移転することで、死者と生者との関係です。これに対して贈与は、贈与側と受贈側で行われる契約で、生者と生者との関係です。
死因贈与もその贈与者の死亡を条件とする贈与契約で、この契約がなされるときには贈与者は生きているわけですから、これも贈与の範ちゅうに含まれます。また、遺贈は、端的に言うと遺言による贈与のことで、遺言をするときには遺言者は生きているわけでこの点では贈与と同じですが、受贈者の同意は不要であり、この点で契約と異なるので、贈与とは区別されます。
ただし、死因贈与と遺贈は贈与税ではなく、相続税の対象になります。普通の贈与はいわゆる生前贈与のことで、この生前贈与について贈与税が課されますが、生前贈与は相続税対策の手段として活用することも出来ます。
なお、相続税法で贈与と言うとき(贈与税法という独立の税法は存在せず、贈与税に関する規定は相続税法の中にあります。)は、個人間の贈与に限定され、法人が関係する贈与は贈与税の対象にはなりません。法人と個人間の法人相互間の贈与は所得税の対象となります。
基礎控除内の生前贈与を活用することで相続税対策が可能
相続が開始すると、相続財産の合計額が基礎控除額を越える場合、被相続人の財産を相続するにあたり、相続税が課せられることになります。そこで、生前贈与によって、相続の前にある程度財産を贈与してしまうことが考えられます。
ただし、贈与には相続税と同じようにその財産を評価し、贈与税がかけられます。贈与税は相続税よりも高い税率が設定されていますが、生前贈与などに関する知識があれば、相続税対策も可能です。
例えば、1年間での贈与が110万円(贈与税の基礎控除額)より少なければ、その贈与には贈与税がかかりません。一方で、当人が知らず知らずのうちに贈与とみなされるようなやりとりがあり、認識していなくても贈与税が発生することもあります。
生前贈与は、相続税対策の手段としての役割もありますが、逆に大きな贈与税を課されるケースもありますので、相続税、生前贈与などのご不明な点は、是非弁護士にご相談下さい。