当法律事務所では、遺産相続や離婚、借地などあらゆるご依頼をお受けしております。また東京周辺だけでなく、全国各地から相談を受けております。一見解決が難しいと思われるような事件でもちょっとした工夫や意外な糸口の発見で解決しております。
両親が一緒に遺言書を書いた事例
ここ数年で扱った事例についてご紹介させて頂くと、依頼者Aさんは奈良県奈良市在住の方で、ある時事故で両親が亡くなりました。後日、両親の遺言状が見つかり、そこには、「遺産は、長男Aと次男Bで半分ずつ分割し、三男のCには一切相続させない」と書かれ、最後の箇所に日付と両親の名前が連記され、それぞれの実印が押印してありました。この遺言に対して、Cさんがそのような遺言は無効であり、自分にも相続権があると主張して遺産の分割を求めてきているというものでした。
共同でした遺言は無効 民法に従って遺産を分配
ここで問題となるのは、遺言が両親によって共同で作成されているという点です。民法975条は、遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができないとし、共同遺言を禁止しています。これは、遺言が本来的には本人の意思に基づいて単独でなされるべきものとされていることに起因しており、もし共同遺言を許すと、遺言の自由やその撤回の自由を確保するのに支障をきたしてしまうことや法律関係が複雑になってしまうので、これを避けるために民法は共同遺言を禁止しています。
ですから、この奈良の事案における両親の遺言は無効であり、遺産は民法の規定に従いA、B、Cの三人兄弟で分割することになります。