管轄とはどこの裁判所で裁判をするかの決めごと
日本では日々多くの紛争・トラブルが発生しています。それを一つの裁判所で処理するのは大変ですから、日本全国の各地に裁判所が設置されています。では、実際に裁判を行うのはどこの裁判所なのでしょうか?近くの裁判所でやればいい、とお考えになるかもしれませんが、自分と相手方とが常に近くにいるとは限りません(北海道の人と、沖縄の人とで争いが起こることだってあるのです。)。そのため、どこの裁判所で裁判を行うのかということが決められており、このことを裁判管轄といいます。
原則は被告の住所の裁判所が管轄
一般に、裁判は被告の住所地で行われることが多くなっています。北海道に住んでいるのに、いきなり沖縄の人から訴えられて沖縄まで出向かなければならないというのは余りにも大きな負担になるからです。
工夫することで自分の近くの裁判所を管轄にできる
しかし、これには例外もあります。例えば相続のケースでは、東京に住んでいるAさんが、父親が持っていた北海道の別荘を相続したものの、しばらくその別荘に行っていなかったところ、全然知らないBさんが勝手に住んでいたというような場合、普通にBさんを「出て行け!」と訴えると、Aさんは北海道までわざわざ出向くことになってしまいます。
しかし、Bさんに、「住んでいたのだから賃料を払え!」と訴えると、賃料は賃借人(家を借りている人)が賃貸人(大家)のところに持っていくのが通常であるといえるので、東京の裁判所でその訴えを行うことができるのです。このように裁判の管轄というものは、相続、あるいは相続以外のケースでも意外と重要になってきますので、注意してください。